top of page
  • 原翔太朗

戦術だけではなくフロント面にもある"昨年王者"横浜F・マリノスの強さの秘訣



 つい最近までヴィッセル神戸が首位の座に君臨していたにもかかわらず、さすが混戦を極めるJリーグ、一筋縄ではいかない。


 一昨年シーズン2位、昨シーズン優勝と強豪としての力を示している横浜F・マリノスが今年も安定して強い。


 先週行われた第17節の柏レイソル戦も、2-3から同点に追いつき、最後のワンプレーで逆転に成功するという王者ならではの勝負強さを演出してくれた。


 今シーズンは、特に目立った補強はなく、反対に主将で昨シーズンMVPの岩田智輝がセルティックスへ、仲川輝人はFC東京、レオ・セアラはセレッソ大阪に、更に開幕後に噂通り正GKの高丘陽平がアメリカのバンクーバー・ホワイトキャップスに移籍するなど、主力選手の流出が多いオフシーズンを過ごしていた。


 だが、闘将と語るにふさわしいほど熱い気持ちを持ってチームを引っ張るボス、ケヴィン・マスカットのスローガン通り"勇猛果敢"に引っ張る姿のおかげか、現状維持に至らずむしろチーム力は向上しているように見える。


 3トップは、アンデルソン・ロペス、エウベル、ヤン・マテウスがバン席の安定感を誇っており、特にアンデルソン・ロペスの決定力の高さから、チームに強い自信と安心を与えてくれる。


 いや、それだけでなくアンデルソン・ロペスはチームプレーに非常に徹している選手であり、ストライカーでありながら自己犠牲をも厭わず、周りを生かすプレーも得意な選手である。


 第17節の柏レイソル戦での、14分にアンデルソンは2列目まで下り、右サイドよりのセンターライン付近からエウベルへのロングパスの精度は、かつて横浜FMで活躍していた中村俊輔並みのキック精度を感じた。





 そして、左ウィングのエウベルと右ウィングのヤン・マテウスの中に切れ込むドリブルは非常に驚異的であり、エウベルは1試合平均2.4回の成功数から第17節までのトータル成功数41回でリーグ1位の成績、ヤン・マテウスは1試合平均成功数が1.2回であるが、トータル成功数20回はリーグ17位タイと上位の成績を残し、成功率が74%と4回に3回は成功するという高確率は非常に頼もしい。


 両サイドからも仕掛けることができ、最後はチャンスメイクもできるアンデルソン・ロペスが仕留めることもできるという攻撃のパターンの豊富さは反則級に強すぎる。


 そして、途中からはスピードを生かしたアタッカーの宮市亮と、第17節終了時点でアシストランキング2位の7アシストを記録している水沼宏太


 トップ下には、日本代表の西村拓真とエースのマルコス・ジュニオールが争うという熾烈すぎる戦いがシーズン通して繰り広げられている。


 西村も昨シーズン並みとはいかないが、安定的な戦いでチームの攻撃を支えていて、チームが欲しいときに得点を決めてくれる。


 そして、マルコス・ジュニオールも少ない出場時間でありながら、存在感を見せており、第16節のFC東京戦で89分に逆転ゴールを決めて、エースとして勝利に導く活躍を見せてくれた。



 ボランチは、新主将に任命された喜田拓也と渡辺皓太の2枚看板の安定感が際立っており、U-23日本代表の藤田譲瑠チマが出場できる隙がないほどである。


 渡辺は、優勝経験を重ねたことで強い自信をプレーから感じるようになり、第9節のヴィッセル神戸戦でのミドルシュートは、強い自信からの思い切りの良さが垣間見得た。


 そして、喜田は主将としてピッチ全体へ大声を張りながら支持するシーンがよく目立つ反面、今までの功績から横浜のレジェンド並みの存在感の高さを感じる。


 その存在感の高さから、誰がみても、「この人が横浜でいちばんチームに欠かせない選手なんだな」と思うほどピッチ上で苦しい時も声を張り上げチームを引っ張っている。


 右サイドバックはボランチも兼務し、今年行われたU-20ワールドカップで得点を決めた山根陸と、昨年はシーズン終盤からスタメンに返り咲きリーグ優勝に貢献した松原健で争っている。


 山根は得点も取れるボランチであるため、攻撃的なセンスをポジションが変わっても見せてくれている。


 両者とも良い時は高いポジショニングで積極的に攻撃に参加し、尚且つ地上でのデュエル戦でも50%以上の勝利率を誇り、レギュラーが固まっていないと言え横浜FMの穴にならないよう高いレベルでレギュラーを競っている。


 それに対し、左サイドバックは永戸勝也は攻守にわたってチームに欠かすことができない一枚岩である。


 守備においても読みの鋭いインターシップも出来る上、攻守の切り替えの速さから攻撃最前線までポジションを上げ、攻撃に絡んでいく姿はチームのバリュエーションを増やす役割を備えている。


 そんなことから、ボールタッチ数が1試合平均75.3回と 約1.2分間に1回ボールに触れている計算となり、最終ラインでのパス回しだけでなく攻撃においても多くボールに絡んでいることが示されている。


 そして、高いキック制度からフリーキックのキッカーを務めており、第14節のガンバ大阪戦で決めたフリーキックはキーパーが悔しがって天井を見上げるほど芸術的な無回転フリーキックをかましてくれた。


 

 そして、センターバックは角田涼太朗が怪我で秋頃までは復帰ができそうにない中、エドゥアルドが躍進し、さすが昨年の主力プレイヤーであることを証明してくれている。


 そして、今シーズンは畠中慎之輔の復活が横浜FMを支えているのではないかと思うほど、魅力的且つ最終ラインで安定的なプレーを見せてくれている。


 パスの成功数1087回は第17節終了時点でリーグトップの数字であり、ボールタッチ数は1試合平均86.6回とチーム内で抜群の信頼を得ていることがこの数字でわかる。


 このように安定して最終ラインでボールを託せる選手がいるからこそ、攻撃の組み立てを容易にすることができ、シーズン前半戦においての角田がオーバーラップしやすくなっているのである。


 そして、ここまでチームを語っているがデータや数字では計り知れない、チーム内での統率が高いレベルで取れているからこそ、シーズン連続して優勝争いに絡むことができるのだろうと考えている。


 第17節の柏レイソル戦での逆転劇において、試合後に逆転ゴールの起点を作った宮市亮に向けてマルコス・ジュニオールやアンデルソン・ロペスが抱き合って言葉を交わしたシーンや、第12節の京都サンガFC戦にて、キャプテンの喜田が不在の中、試合前ロッカーでの畠中やゲームキャプテンのエドゥアルドの引っ張りを支えるようにチーム全体で盛り上がっていく雰囲気など、チーム内統率が特に強く取れている印象を感じる。


 私は監督やチームメンバーの力もあるが、編成面も統率において考慮していると感じており、外国選手がブラジル人しかいないのである。


 多国に選手がいると、カルチャーや言語も違うため、同じ外国人選手であっても仲を深めることができなくなることも想定されるため、まずチーム内で孤立をなくすために国籍においてもフロントは配慮をしてチーム力を強化しているのではないのだろうか。


 チームに対してネガティブな気持ちが生まれない環境な上、成績まで残すことができるという好循環が個人間で生まれれば、チーム愛が芽生えるのも時間の問題であろう。


 ポジティブな雰囲気の人間が多くなれば、ベンチで悔しい想いをしているメンバーもチームに対してはネガティブな気持ちを抱くリスクは軽減でき、個人の能力向上に努めることができる。


 そんな好循環がチームを強くしているのではないのではないかと私は推測する。


 それにしても強すぎる横浜F・マリノスを止めるチームはどこになるのか、今後もJリーグからは目が離せない。



このウェブサイトは株式会社WASABIZによって運営されています。無断複製、転載を禁止します。




Comments


bottom of page