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原翔太朗

UEFAチャンピオンズリーグ ラウンド8レビュー

 今月17日、UEFAチャンピオンズリーグ(以下 CL)の準々決勝以降の組み合わせが発表された。

 ラウンド8からフリードローとなり、同じ国同士の対決も解禁されたことにより、実際同国同士での激突も決定した。

 一方、CLならではの組み合わせも実現し、見ているものがますます楽しくなるような展開が構築されている今大会の組み合わせごとにレビューを語っていきたい。


・レアル・マドリードvsチェルシー

 昨シーズンのラウンド8で実現したカードが、抽選の結果にて再戦を果たすことになったカード。

 当時は延長戦までも連れ込んだ激闘を、5-4でレアル・マドリードが制しその勢いをもって優勝を成し遂げた。

 そんな2連覇を達成するべく負けるわけにはいかないレアル・マドリードだが、リーグ戦では勝ち切ることができない試合が多くあり、首位バルセロナとの勝ち点差も広がる一方であり、順調に今シーズンを過ごせているわけではない。  一方チェルシーはもっと深刻な状態であり、2022-23シーズンで費やした移籍金の金額において、2位マンチェスター・シティの約2倍の5億5000万ユーロ(約777億円)を費やしたにも関わらず、プレミアリーグ10位(27試合終了時点)とかつての強豪に相応しくない順位に甘んじている。  レアル・マドリードは、チェルシー戦前の6日にコパ・デル・レイ準決勝セカンドレグにてバルセロナ戦を迎えるため、ファーストレグのビハインドをひっくり返して、勢いも利用してチェルシー戦を迎えたい。

 対するチェルシーは、CLで結果を残さないと屈辱的なシーズンとなるため、ベスト16で当たったドルトムントに逆転した勝負所に強いチェルシーをレアル・マドリード戦では見たいものだ。


 

・マンチェスター・シティvsバイエルン・ミュンヘン

 今シーズン開幕前に、プレシーズンマッチとして激突した組み合わせであり、その試合はハーランドのゴールをマンチェスター・シティが守り抜き、完封で勝利した。

 マンチェスター・シティは、28試合終了時点でアーセナルに続くプレミアリーグ2位の位置につけており、得点数もアーリング・ハーランドという超人的なストライカーの影響からかリーグナンバーワン(71得点)を誇っており、得点も取れる司令塔ケヴィン・デ・ブライネ、スペイン代表においてブスケツに次ぐボランチ候補と言われているロドリなど中盤の安定感が際立っており、繋ぎながら攻めるポゼッションサッカーが持ち味のチーム。

 対するバイエルン・ミュンヘンは、10シーズン連続ブンデスリーガを制するなど、国内では敵無し状態であったが、今シーズンは国内で圧倒的な成績を残せれていない状態である。

 だが、CLではパリ・サンジェルマンを倒してここから逆襲を仕掛ける展開の中、ユリアン・ナーゲルスマン氏が監督を解任されるというただ事ではない事態が起きている現在。

 ただ、監督が変わったからと言って選手たちは一流であり、やることは細かく変わることはないだろう。  サディオ・マネのスピードは一級品であり、カナダを背負う存在であるアルフォンソ・デイヴィスのプレーには誰が見ても驚くものを見せてくれる。

 ディフェンス陣もマタイス・デ・リフトの安定感はチームに安心感をもたらしてくれるため、大舞台前のチームの混乱を落ち着かせてくれることに期待をしたい。


・ベンフィカvsインテル

 今シーズンから指揮をとっているロジャー・シュミットの元、今シーズンCLを含む公式戦をわずか1敗と、国内外問わず敵無し状態であるベンフィカ。

 前線からのハイプレスを仕掛け、ラファ・シウバとジョアン・マリオを中心に攻撃を組み立て、ショートパスを繋ぎ相手を崩していく。

 ヨーロッパの各クラブであるような、外で回してクロスを上げる戦術とは一線を画す形となっており、グループステージではパリ・サンジェルマン、ユヴェントスと同グループでありながら無敗で1位突破を果たし、2シーズン連続のベスト8進出と盤席の強さを誇っている。

 対するインテルは、イタリアスーパー杯はACミランを倒して優勝とタイトル獲得はしているが、28試合終えて首位ナポリに勝点20差のリーグ3位と優勝が絶望的であるため、リーグ優勝19回の名門としてはなんとしても13シーズンぶりのCLのタイトル獲得を果たしたい。

 だが、ポジティブなニュースもそこまで多くないのが実情であり、ブライトンのデゼルビ監督引き抜きのニュースが出てくるほど、シモーネ・インザーギ監督の手腕と結果にサポーターは満足している様子がない。

 だが、昨シーズン21得点を記録したラウタロ・マルティネスが今シーズンも28試合終了時点で14ゴールと例年通りゴールを量産している姿は、目立った成績を残せていない名門において素敵なポイントであるとともに、かつてはストライカーとしてインテルを支える活躍を見せてくれたロメロ・ルカクも雪辱を果たすステージとして、ゴールという結果を見たいサポーターは数多くいるはずである。

 守備においても、アンドレ・オナナが70%止めれば上出来である中、チャンピオンズリーグにおいてセービング率84%と驚異的な数字を残している。

 ベスト16も安定感誇る守備により、ポルト相手に180分間クリーンシートを達成し、ベスト8に進出。

 中盤に人数を多く割いているチームのため、インテルがボールを保持し、ハイプレスから速い展開での攻撃をベンフィカが狙う試合が想定されるため、攻撃陣の決定力が勝負を分けるポイントと考えられる、注目の一戦である。



・ナポリvsミラン

 イタリアクラブ同士の一戦であり、リーグ首位を独走するナポリとここまでCL圏内でリーグ戦をフィニッシュできるかも怪しいほど苦しんでいる名門ミランがぶつかるイタリア内外問わず注目されている一戦。

 ナポリは、ルチアーノ・スパレッティ監督中心にチームの完成度が非常に高く、メッシやエムバペといった代表クラスであるが世界的に有名なプレーヤーが数多くいるわけではない。

 だが、ジョージア代表のクビチャ・クバラツケリアのボールコントロール能力とドリブルは目を見張るものがあり、ナイジェリア代表のヴィクター・オシムヘンの脅威的なスピードを生かした得点力はまさに一流と言っても過言でないほどであり、両選手ともネクストスタートして注目されている。

 ベスト16のフランクフルト戦でも、後方で自分たちのペースを作るパス展開から、前線のスピードを生かし少ないパスでゴールを脅かすシーンを何度も演出し、結果としてコンパクトに構えていた相手を崩し、2戦合計5-0と完勝でベスト8に勝ち上がった。

 ナポリには統一感を感じ、戦術を忠実にフィールド上で展開する忠実性が功を制し、結果としてリーグ戦・CLでの好調を呼び起こしているまさしく連覇を狙うレアル・マドリードらのダークホースとしてCLでも優勝杯を掲げていてもおかしくないほど、試合展開に安定感がある。

 リーグ戦ではディエゴ・マラドーナが中心選手であった1989-90以来となる優勝が目の前にある中、CLも初優勝目指してベスト8でつまずくにはいかない。  対するミランは、リーグ戦8戦未勝利を経験するほどかつての名門とは言えない姿を見せるほど苦戦している。

 インテルとのミラノダービーで2連敗を喫し、それだけでなく守備陣の安定感のなさから大量失点が非常に多く、優勝した昨シーズンは31失点のミランが、今シーズンは28試合終えて36失点と、リーグ覇者といえない戦いを今シーズンは見せている。

 だが、昨シーズンの正守護神でありリーグ最小失点の守備陣を支える活躍を見せたマイク・メニャンが長期離脱から復帰し、早速CLベスト16・トッテナム戦のセカンドレグでは無失点とベスト8進出に大きく貢献し、守備陣の不安が完全に解消はしないだろうが、少なからず安定感は増すことであろう。

 そして、私はサンドロ・トナーリに期待をしたいと思っている。

 ミランはこれまで中盤で自由にプレーさせることが多いことから、止めることができず失点が増えている現状であるため、トナーリだけの問題でないが、"ピルト2世"には今までの活躍以上の姿をフィールド上で見せてほしい。

 若き22歳の司令塔と背負うものが多すぎると思うが、苦しむ名門をCLという舞台で上へ引っ張っていき、優勝杯を掲げる姿を見てみたい。

 そして、CLベスト8の前哨戦と思われる第28節で対決が実現し、結果は4-0のスコアでミランが圧勝し、ナポリを完膚なきまでに叩きのめしたのである。

 だが、ボール保持率はナポリが61%と保持していたが、ミランの縦に早い攻撃でミランの守備陣形を整える前に攻め立て、楽な姿勢でシュートを打ちゴールを決めるシーンが非常に多かった。

 ミランの選手の秘めている能力の高さがフィールド上で遺憾なく発揮された試合であり、同じようなパフォーマンスを繰り返すことで、CLでのミランの勝利も見えてくる。

 反対にナポリにとっても雪辱の舞台としてCLは最高のステージである。

 リーグ戦によって面白くなった同国チーム同士のベスト8には注目していきたい。



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