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原翔太朗

U-20W杯を楽しむ極意5選


 5月20日から開幕される「U-20サッカーワールドカップアルゼンチン2023」。

 ヨーロッパ予選でイスラエルが出場権を得たことで、イスラム教徒が多いインドネシアでは反イスラエル感情から、開催反対の声が強く挙がったことで、開催2ヶ月前にインドネシアでの開催中止が決定。

 その中で、先月アルゼンチンで開催が決定し、予選敗退したアルゼンチン代表が急遽開催国枠で出場決定が決まるなど、開催前からドタバタしすぎた今大会。


 日本代表は、コロナウイルスの世界的な大流行で大会自体が中止になった2021年を除くと、3大会連続の出場である。

 2017年は、板倉滉や冨安健洋、堂安律に加えて当時15歳の久保建英も出場し、2019年は伊藤洋輝や瀬古歩夢、菅原由勢と現在の日本代表を支える選手や海外で活躍を果たしている選手が過去に数多く選出されており、今大会も選出されたメンバーの中でどれだけ今後の日本代表を支える選手へ飛躍するのか見ものである。


 先月21日の抽選会で日本代表の組み合わせが決定し、2015年に残したベスト4という成績を超すのではないかと期待がされている世代のセネガル、2025年にチェルシー入団が内定していて今大会最年少選手となるケンドリー・パエスら有望選手を有するコロンビア、欧州チャンピオンには一歩届かなかったものの、決勝でイングランドと延長戦にもつれるほどの熱戦を展開したイスラエルと強豪から曲者まで、いずれにしても簡単には勝てない相手との組み合わせが決定した。


 今回は、U-20ワールドカップ日本代表の注目すべきポイントをこのコラムでは上げさせていただく。



第1選:カリスマ的なキャプテンシーの松木の立ち振る舞い

 まず、U-20日本代表の中心選手である主将松木玖生のプレーや戦い方に注目していただきたい。

 松木の持ち味として、Jリーグ屈指のボール奪取能力が挙げられる。

 今シーズンも13節終了時点で、1試合平均インターセプト数がリーグ4位の0.6本と20歳でありながら国内でも屈指のボール奪取能力を誇る。

 ワールドカップはアジアカップに比べてどうしても強度が高くなり、押される時間帯を耐えることができるのかという戦いを強いられることになると予想できる。

 だからと言ってボランチで中盤の底としての活躍が期待されるのかといったらそうでもなく、松木はユーティリティープレーヤーである。

 アジアカップではトップ下で両サイドハーフを自由に動いてもらうための統制やポジショニング、またフォワードとしてゴールを奪う力もある。

 そのため、松木をどこのポジションで使うのか冨樫監督の手腕も気になる所だ。

 中盤でピッチ全体を支配するというよりかは、プレーでチームを引っ張るスタイルであり、まるで本田圭佑のようにカリスマ性も駆使し、中盤だけでなく前線も支配する動きに注目をしていきたい。



第2選:フェイと対マンを張る右サイドバックは誰だ?

 第1戦でぶつかるセネガルには、スレイマン・フェイという世代別代表を着実に駆け上がり、抜群の得点能力を誇る右ウィングバックが存在する。

 そんなプレーヤーと対峙する左サイドバックに松田隼風を選ぶのか、髙橋仁胡を選ぶのかに注目していきたい。

 松田は水戸ホーリーホックスに在籍し、1vs1においての抜群の強さに合わせて、スピードを生かしたオーバーラップからの攻撃参加に定評がある選手である。

 快速を生かした守備は、フェイ相手にどれだけ喰らい付いてくれるのか非常に楽しみなポテンシャルを持っており、世界的なプレーヤーとぶつかって松田が一皮も二皮も化ける姿を見てみたいものである。

 対する仁胡は、FCバルセロナ在籍でバルセロナ出身のプレーヤー。

 日本人の母親とアルゼンチン人の父親の元で生まれ、スペインの世代別代表に選ばれた経験があることから、実力は世界でも折り紙付きのプレーヤーである。

 現に英紙「ガーディアン」では世界最高の若き逸材60人に選出されるなど、世界からも期待されているプレーヤーである。

 フットサル出身からボールテクニックには長けており、後方からのパサーとして攻撃を組み立てる事もでき、屈強なフィジカルを生かした対人守備も屈強である。

 どちらも魅力的な選手であり、冨樫監督はどのカードを切ってくるのかがワクワクして初戦のスターティングメンバーを注目していきたい。



第3選:キーワードは「柔軟性」冨樫監督がメンバーに求めるもの

 また、どの選手がスターティングメンバーに入るのかがわからないほど選手間の力が拮抗しているため、3戦全て固定で挑むとは想定しづらいほどの日本代表メンバーである。

 それこそ冨樫監督が掲げている「柔軟性」であり、選手たちにはその瞬間、瞬間で起きるプレーの中で最善の選択ができるメンバーを選出しているだろうし、可変的なフォーメーションが予想される中で、いかに自分の役割を出し切ることができるのか。

 相手が予想する一歩先のプレーを選択できるのかという高いレベルを満たしているメンバーを選出していると考えられる。

 例えば、横浜Fマリノスユースの松村晃助は、アジアカップでは当落線上と予想された中、代表候補合宿でトップ下が主戦場の中、サイドハーフ、ウィングバック、ボランチと様々なポジションに対応できることをアピールし、

 中盤でボールを受けての展開や、サイドでボールを受けての攻撃の推進力など、ケースバイケースで対応し、指揮官が認めるほどのサッカーIQを披露したことで、代表に選出された。

 このような思考でのメンバー選出のため、ただ実力に長けている選手が必要なのではなく、どのシチュエーションにおいてもチームとして最善と思えるプレーをするためのピースになってくれる選手の集合体であり、3戦それぞれ違った戦い方を冨樫監督は考えているに違いない。 



第4選:困った時のチェイス・アンリ

 そんな中でも、困った時のチェイス・アンリのパワープレーも実は戦術の手札には秘めているだろう。

 現在はセンターバックとして長身と強靭なフィジカルを生かした守りで、海外勢も跳ね返すほどの屈強さを見せてくれている。

 だが、元々はフォワードとしてプレーしており、ゴール嗅覚も他のディフェンダーよりかは優れている。

 昔の日本代表で言うと、終了間際に点を取るために闘莉王を前線に上げていたように、1戦1戦負けが許されない短期決戦では、FWチェイス・アrンリという手札が披露される事も想定される。



第5選:今大会だけでない、大会を通じた今後のキャリアの成長

 1戦だけ見るのではなく、3戦全て見て点ではなく線として日本代表の戦い方に注目していくとより面白みが伝わるのではないだろうか。

 そして、大会を通して見終わった後、世代別で戦った戦士たちはどのような成長曲線を描き、フル代表へと還元していくのかといった観点からも見ていくと非常に面白い。

 世代別でしか体感できない面白みであり、果たして今大会に選ばれた日本代表選手はどのようなサッカー選手になっていくのか、ぜひ注目し皆さんにも見ていただきたい。



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