「いつも大宮アルディージャを応援していただき、ありがとうございます。
現在リーグ最下位という状況で、大宮アルディージャを愛するすべての方々に、本当に辛く悲しく悔しい思いをさせてしまっていることに対して、深くお詫び申し上げます。(原文ママ)」
今月2日に、大宮アルティージャの公式HPにて、代表取締役である佐野秀彦社長からサポーターに向けてリーグ最下位という現状に対してのお詫びの文章がリリースされた。
そして、先月にはチームの低迷の責任を負って相馬直輝氏の監督解任と、新たに原崎政人ヘッドコーチの監督昇格が発表された。
これで、3年連続でシーズン途中にも関わらず監督解任と、フロントが我慢し切れないほどの低迷が続いている。
だが、かつてはJ1でプレーしていたクラブであり、2005年と2016年には天皇杯でベスト4まで勝ち上がるなど、猛威を振るっていた時代もあったクラブである。
それが、現在はJ2最下位にまで落ちたことで、サポーターからももっとできる姿を知っているからこそ、今の現状はとても歯がゆい気持ちでいっぱいだろう。
それでも、元日本代表の藤本主税や大前元紀など、堅守速攻スタイルでありながら魅力的な攻撃的選手を多く輩出し、安定感ある戦いで長期間にわたってJ1を戦い抜き、2014年にJ2降格しながら、翌年にJ2優勝し1年で昇格を果たした姿も見せてくれていた。
だからこそ、この位置に低迷するチームだと思ってもなかったと共に、現在の大宮にもピッチ上で輝きを放っているとても魅力的な選手が多く存在する。
昨シーズンから移籍してきた茂木力也は、中学卒業後から各年代の日本代表に選ばれた実力者であり、元はセンターバックでありながら、ボランチも務めることができ、今シーズンは主に左サイドハーフ、左サイドバックでプレーをするなど、ユーティリティー性に長けているプレーヤーである。
左サイドからスピードを活かしたオーバーラップは観客を大いに盛り上げ、ディフェンダーでありながら町田戦で見せたような正確かつ強烈なシュート力から、なくてはならない選手として大宮を支えてくれている。
大宮のJ2優勝に大きく貢献し、ガンバ大阪やヴァンフォーレ甲府などさまざまチームを渡り歩いた後、昨シーズンから大宮に戻ってきた泉澤仁も、30代に突入した現在も1vs1の強さは健在であり、サイドをドリブルで切り裂き、ペナルティエリア内付近で放つシュートは相手に脅威を与える。
特に、第18節の甲府戦で見せた緩急をつけたドリブルからの正確なクロスはまさに芸術品であり、私の頭の中で深い記憶として刻まれるほど美しく、まさに試合を見ていて圧倒された。
そして、最終列で気合あふれるプレーでゴールマウスを守る笠原昂史も、大宮復帰1年目にも関わらず、ディフェンダー陣を鼓舞するような熱量あふれる声かけに、抜群のジャンプ力から生み出される数々のスーパープレーでチームを救ってくれている。
19節を終えて30失点と決して少なくない数字であるが、ここまでの数字に収まっているのは彼の神がかったセービング力があってのものであろう。
これまでは、中堅・ベテラン選手を紹介してきたが、若手にも多くの素敵な選手が大宮のチームで躍動している。
自身の名前に沿って48(シバ)番を背負う「大宮のメッシ」こと柴山昌也は、相手のタイミングをずらす巧みなドリブルから相手を次々と交わし、正確なセンタリングで得点だけでなくアシストまでできる大宮の未来を背負うユース出身のプレーヤーである。
第8節の山形戦で見せてくれたプレーが柴山の魅力を証明するものであると感じており、22分に見せた右サイドでボールをキープしまた抜きパスからのワンツーで受け取ってのシュートは本当に20歳の選手なのかと思うほどの落ち着きと冷静さをピッチ上で表現し、1-1とドローの中での81分でのPKも決めてチームを勝利に導き、童顔とは思えないほどの強心臓の一面も秘めている魅力的な選手である。
そんな柴山が躍動する逆サイドである左サイドハーフでピッチ上で多くのチャンスメイクを繰り広げる高柳郁弥も、東洋大から今シーズン加入したばかりにも関わらず、第19節終了時点でリーグ9位のアシスト数(3アシスト)を誇る将来有望のプレーヤーである。
元は大宮ユース出身であり、トップチームに昇格できなかったことから大学に進学し、レベルアップを図り、昨シーズン特別指定選手として登録され、今シーズンから正式加入が決定したのである。
正確なキックコントロール能力から繰り広げられるクロスの精度はまさに一級品であり、近い将来10アシストを記録するのではないかと期待したくなるほどである。
第9節の大分戦にて46分に見せたアンジェロッティへのアシストも、自らが軸としてワンツーで右サイドを駆け抜け、走りながらマイナス方向への折り返しと難しいシーンでありながら正確にパスを提供し、アンジェロっティが思い切り振り抜けるような位置とパススピードで得点を演出して見せた。
他にも、3試合の先発を含む6試合に出場し、積極的なオーバーラップから多くのクロスを上げ攻守にて存在感を示している右サイドバックプレーヤーで、今年20歳になる貫真郷や、同じく20歳で、町田戦で見せた浮玉パスなど抜群のボールタッチ能力と、相手の裏を描くプレーに長けているテクニシャンであり、切れ味鋭いドリブルから得点を上げるストライカーである山崎倫と、大宮には若手を中心に多くの魅力的なプレーヤーが存在している。
そんな選手が数多くいるからこそ、後は「なぜここでもっとボールマンに詰めに行かない」「なぜクロスを簡単に挙げさせるんだ」「なぜ簡単にペナルティエリア内にパスを通すのか」という少しの隙から出てくる無駄な失点を抑えるだけで、大宮はもっと上に行けるチームだと思うし、その力量は既に備わっている。
少なくとも、J2最下位と落ち込みJ3でプレーするようなクラブでは決してない。
佐野社長がHPで謝罪文をリリースした翌日の水戸戦では敗れはしたものの、茂木の体を投げ出すシュートブロックや、クロスを上げさせまいと足を上げ、少しでもクロスの質を悪くしようとする姿から、献身的でチームを変えようとする姿勢は少しずつであるが見えてきている。
ここからの、大宮の躍進には期待がかかるし、最下位にいるべきチームではないため是非とも残留圏内に返り咲いていただきたいものである。
大宮の逆転劇に私は期待している。
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