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  • サッカー太郎

究極の後出しジャンケン-他競技選手から見る三笘薫の凄さ-


戦術三笘

世間的に三笘薫の凄さが広まったって来たのがワールドカップ最終予選のオーストラリア戦の2ゴールではないでしょうか。


サッカーファンであれば天皇杯での筑波大学での活躍や、Jリーグ加入後川崎フロンターレでのドリブル無双を記憶している方も少なくないはずです。


これらの三笘選手の活躍、特に後半途中から出てきた際にとてつもないインパクトを残すワクワク感、期待感を見て世間では”戦術三笘”と揶揄する人が増えていきました。






ワールドカップ前とワールドカップ後の変化

ワールドカップ前は、YOUTUBE、各媒体等でもスターティングメンバーを予想するラインナップにはほとんど名前がなく”JOKER”という印象があったと思います。

後半から出場し流れを変えることであったり、相手が疲れてきたところに左サイドから仕掛けるドリブラーとしてのイメージが強い印象でした。


いざ本大会に入ってみると体調不良等で合流が遅れベンチスタートから始まりました。

初戦のドイツ戦後半途中から出場し左WBのポジションで起用されましたが、三笘選手のドリブルに期待するファンはその起用に驚いた印象も見られました。

ブライトンでもそのポジションで起用経験のある三笘選手は見事にそのポジションで躍動し、左サイドからの仕掛けから絶妙のタイミングで南野選手にスルーパスを出し、堂安選手の同点ゴールを演出しました。


続くコスタリカ戦も途中出場での出場だった三笘選手ですが、後半途中から出場して持ち前のサイドからのドリブル突破で何度も決定機を作り出しましたが、フィニッシュに繋がらず惜しくも敗れました。


プレミアリーグ優勝チーム予想

  • 0%マンチェスター・C

  • 0%アーセナル

  • 0%ニューカッスル

  • 0%マンチェスター・U

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そんな中迎えた最終節は無敵艦隊スペインとの試合。

引き分けでは条件付き、勝ちが求められる最終節、大会前とは違い、スターティングメンバーの予想で三笘選手を押す声がかなり増えていた印象でした。

しかし、森保監督は後半頭から三笘選手を起用。すると後半開始早々スペインのバックパスを連動したプレッシャーで前田選手、鎌田選手、三笘選手とGKのウナイ・シモンのSBバルデへのパスが浮き玉になり、それを伊藤選手がリスク覚悟のプレッシャーでボールを奪取、それを拾った堂安選手が左足一閃で同点ゴールを奪い、その数分後”三笘の1ミリ”と大会後最もインパクトを残した堂安選手からの折り返しをサイドラインギリギリで折り返し、田中選手の決勝ゴールをアシストしました。

最後までボールに喰らいつく執念とあの体勢からボールを折り返すとてつもない体幹の強さが光りました。

そしてこの試合それ以上に見ている人の目を引いたのは守備局面での圧倒的な対人の強さでした。後半途中から出てきたフレッシュな状態のフェラン・トーレス、アセンシオといった

世界的なアタッカーを完封し、その中で機をみてはSBカルバハルを置き去りにする脅威的なスピードで浅野選手に決定的なラストパスを送るなど、攻撃面だけでなく、1対1の守備局面での強さという新しい1面を世間に知らしめた試合だったのではないでしょうか。


敗れた決勝トーナメント1回戦のクロアチア戦も途中出場から日本の攻撃を牽引し、センターライン付近から三人抜いてのシュートなど見せ場を作りましたが、自身のPK失敗もあり悔しさの残る形でワールドカップを終えました。

世間からの評価はもはや”JOKER”ではなくフルタイム出場で違いを作る三笘選手の出場を

強く押す声が増えました。



ブライトンでの躍動の要因”後出しジャンケン”がもたらすプレー精度

三笘選手がなぜここまで活躍できるのでしょうか?

それは空間認知能力と強靭なフィジカルから来る瞬発力と言えます。


三笘選手の試合をフルタイムでみているとよくわかるのが、負け戦には挑まないことです。

これは第一に”自分の距離”をわかっている証拠と言えます。

格闘技に例えるとパンチをもらわない距離がわかっていて自分が当てることが出来る距離感をわかっていることになり、那須川天心選手がその技術がずば抜けていることでも有名です。

自分がドリブルを仕掛けて自分の相手を抜くための選択肢を探りながら右足のインステップを使いドリブルを開始するのが三笘選手の特徴であり、その中で自分の距離を保ちながら相手が自分の仕掛けられる空間に入ったタイミングでドリブルを仕掛けたり、自分のフェイントで相手を自分がボールを取られない空間に動かしてから持ち前の瞬発力で置き去りにするのが三笘選手の一番得意なパターンであり常に顔を上げてドリブルを開始しているため

周りがよく見えていて、ディフェンスの状況をみてはドリブルしながらすかさずアウトサイドで中央の選手を狙うキックを持っており、相手の状況を常に把握しながら、相手の動きに合わせて常に有利な選択を出来る”後出しジャンケンができるのが三笘選手の凄さであり活躍の要因になっています。


これもすべて高いフィジカルがもたらせる技であり、自分がどこまでなら相手に勝てるフィールドでどこまでが勝てないフィールドかというところを理解できている点が素晴らしい。勝負所を見極め無理しないところはすぐはたいてポジションを取り直す。チャンスと見ればすかさずドリブル開始。

これが相手選手がわかっていても止められない技術であり、移籍市場でも急浮上しているという三笘選手が世界的に評価されている要因なのではないでしょうか。



正念場のリーグ後半戦苦しみながら見出した新たな境地

遂に更新した日本人プレミアリーグゴール最多得点記録

リーグ戦だけでなく、FAカップ等でスーパーゴールを連発し、毎試合当たり前に活躍する三笘選手の活躍が止まりませんでしたが、キーポイントとなった22節のクリスタルパレス戦、23節のフラム戦は決定機こそあったものの得意のドリブル突破がほとんど通用しませんでした。

チェルシー、アーセナル、リバプールといったプレミア最強の守備陣を誇る面々に対しても変わらずドリブル突破を試みた三笘選手を完璧に近い形で押さえ込んだ要因は、常にダブルカバーで対応する守備で一人剥がされたとしても常にディフェンダーが三笘選手の距離感でなくディフェンスの距離感で常に先手を打っていたところでしょう。

これだけ日本人選手で相手から研究されマークを厚くされた選手は筆者の記憶にはありませんが、このような屈強なディフェンダーが揃うプレミアリーグでは得点に絡むことが容易ではないと痛感する内容でした。


しかし、ここで終わらないのが今シーズンの三苫選手でした。

自分への手厚いマークを活かしボールをもらってもすぐにはたき、逆サイドのプレイヤーであるソリー・マーチ中心にブライトンの攻撃がシフトし、三笘選手は試合から”消える"時間帯が増えました。

ここで三笘選手は動き出しのスキルが格段に上がり、逆サイドからのセンタリングに合わせたり、高精度のロングフィードを誇るブライトンのCB陣のパス精度を活かしサイドに深さを出してから一気にゴール前に抜け出すパターンなど味方との連携も深まり、より結果を残せるパターンを増やしてきています。

そして29節ブレントフォード戦GKからのフィードキックを抜け出し技ありのループシュートで日本人プレミアリーグ最多得点記録を更新しました。

“消える”時間帯が増えても必ず結果を出し続けている。選択肢が増えた”後出しジャンケン”で三笘選手の今後の活躍は止まらないだろう。


【この記事の執筆者】


長尾健  ながお たけし


アメリカンフットボールコーチング団体・SPECIAL ONE代表

立教大学、名城大学などでアメリカンフットボールコーチとして指導する傍ら、格闘技やサッカーなどの競技にも造形が深く、試合の戦略、チームビルディング、選手のメンタル、フィジカルなど多角的な視点でスポーツを読み解くコラムを執筆。





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