ラ・リーガ第33節のレアル・マドリード戦で、レアル・ソシエダは久保建英の先制点と、アンデル・バレネチェアの追加点により2ゴールを挙げ、守ってはアレックス・レミロの安定したセービングと、相手陣地でのハイプレス、自陣に攻められた際には中盤を固めて数的有利を作り主力なきレアル・マドリードをシャットダウンし、勝利を上げることができた。
中でも、久保は昨シーズンまで在籍していた古巣相手に成長の証を目の前で見せた上、記録でいうとラ・リーガのレアル・マドリード戦で日本人史上初のゴールを挙げた選手となったのである。
だが、そんな記録も当然通過点だと見ている人でも分かるほどの凄さと存在感、そして今後への期待を久保には感じる。
特に、レアル・ソシエダの移籍は正解と言ってもいいほど、戦術にマッチしピッチ上で輝きを放っている。
そんな今シーズンの久保が特にすごいと感じたのは、以下の点である。
チームが敗戦もMOM!? 久保の驚くべきスタッツ
ラ・リーガ第20節バジャドリード戦で、チームは敗戦ながらもMOMに選出されるという何とも異例と言える結果を残したのである。
その理由というと、勝利チームの選手を凌ぐ数字を試合で残したからであろう。
シュート数7本、ドリブルを仕掛けた数5回、成功数3回、地上戦デュエル回数17回、勝利数7回とこれらは全て両チームトップの成績になっている。
特にデュエルは、攻撃だけでなく守備においての成績も加味されているため、まさに攻守において独壇場とも言える活躍を見せてくれたことで選ばれたMOMである。
次節のエスパニョール戦では、先制点を挙げる活躍からMOMに選ばれ、この時の久保の誰も寄せ付けないほどの存在感と輝きは、今でも覚えている。
レアル・マドリード戦プレイバック
では、今週行われた第33節の古巣レアル・マドリード戦について振り返る。
前半1分に元スペイン代表のナチョからタックルにより軽々とボールを奪った姿から、テクニックだけでなくフィジカル面においても大きな成長を見せてくれている姿をいつものように見せてくれた。
前半20分には、右サイドでボールを受け取った久保が、空いた中盤に侵入して味方にパスをしてからセンターサークル方向に向けて走り抜けたことで、右サイドのアンドニ・ゴロサベルの前にスペースを作り出すことに成功した。
ゴロサベルにとっては、ドリブルやパスと選択肢が増えて、結果として右サイドに相手選手を惹きつけて、逆サイドへ攻撃を展開。
あわよくばPK獲得かと思わせるシーンを演出した。
そして、後半1分に相手選手のバックパスのミスに対して、ゴールポスト近くへ潜んでいた久保がボールをゴールへ蹴り込み、レアル・ソシエダに先制点をもたらした。
前線からプレッシャーをかけ続けたことにより、相手ディフェンスへの集中力を低下させ、且つ久保のボールサイドと逆サイドの中間に位置し、何かミスがあった際にはいつでもボールを奪取するという攻めている且つ基本のポジショニングを徹底したことで生まれた先制点である。
後半6,7分においての2回にわたる縦への仕掛け、そして目についたのが1回目のドリブルで相手を振り回した後、後ろにいる味方にパスをし、ディフェスがボールマンに目が行った瞬間に、縦へのスペースに対しボールを要求したシーンである。
久保はプレーの2手、3手先を読んでいることで、相手ディフェンスからフリーになることを予測していたのだろう。
だからこそ、パスした瞬間にすぐ左手を上げてスペースへボールを要求したのであると私は想定する。
その後、ダニエル・カルバハルの退場により数的有利になったレアル・ソシエダ。
前線からの攻めの守備で、相手チームは苦し紛れのパス回しを強いられ、反対にレアル・ソシエダはピッチを広く使いパス回しを展開し、強行日程を強いられているレアル・マドリードを更なる苦しみを与えていく。
終始、攻守において存在感を見せた久保は後半29分にお役御免。
観衆からのスタンディングオベーションの下、ピッチを去ったのである。
試合全体を通してもレアル・ソシエダはボール支配率でレアル・マドリードを上回っており、(レアル・ソシエダ:53% レアル・マドリード:47%)、レアル・ソシエダが試合を通じてゲームを支配した上で完勝をおさめたゲームであった。
バルセロナやレアル・マドリードと渡り歩いて、外国人枠の兼ね合い等からピッチ上での輝きを見れなかったのが、日本人として悔しい思いを持っていたのは私だけではないだろう。
今では、レアル・ソシエダの躍進を、久保がチームの中心選手として一躍を担っている姿を見れるのは、今まで久保の活躍を期待していた多くのサッカーファンにとっては本当に嬉しく、ここから更なる活躍に期待しているだろう。
ファンが求める高いハードルを多くの努力で乗り越えて見せるのが久保建英であり、そんなサッカー選手の成長物語をリアルタイムで見れるのはサッカーファンにとってまさに喜ばしいことである。
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