top of page
  • サッカー太郎

デ・ゼルビは、なぜ三笘薫を酷使するのか?

過密日程と出場時間の多さがパフォーマンスの低下に 

 三笘はワールドカップ(W杯)アジア2次予選の日本代表に招集されたが、怪我で離脱した。ここまでプレミアリーグ12節終了時点で10試合に先発フル出場している。残りの2試合も後半から出場している。つまり、全試合で出場を果たしていることになり、3ゴール3アシストと結果も出し続けている。加えて、ブライトンは今季、ヨーロッパリーグにも参戦しており、三笘は4節終了時点で4試合すべての試合で出場している。9月には代表ウィークで日本代表としてドイツ、トルコとの親善試合に招集されており、ドイツ戦で先発して84分まで出場している。カラバオ杯のチェルシー戦を含めると計18試合に出場していることになる。下記に三笘の出場した試合を纏めてみたが殺人的日程と出場時間である。

日程

リーグ

対戦相手

出場時間

8月12日

プレミアリーグ1節

ルートンタウン(H)

スタメン 90分

8月19日

プレミアリーグ2節

​ウォルバーハンプトン(A)

スタメン 90分

8月26日

プレミアリーグ3節

ウェストハム(H)

スタメン 90分

9月2日

プレミアリーグ4節

ニューカッスル(H)

スタメン 90分

9月9日

代表親善試合

ドイツ(ドイツ)

スタメン 84分

9月16日

プレミアリーグ5節

マンチェスター・ユナイテッド(A)

スタメン 90分

​9月21日

ヨーロッパリーグ1節

AEKアテネ(H)

スタメン 90分

9月24日

プレミアリーグ6節

ボーンマス(H)

スタメン 90分

​9月28日

カラバオ杯3回戦

チェルシー

IN 45分

9月30日

プレミアリーグ7節​

アストン・ヴィラ(A)

​スタメン 64分

10月5日

カラバオ杯3回戦

マルセイユ(A)

スタメン 90分

10月8日

ヨーロッパリーグ8節

リヴァプール(H)

スタメン 90分

10月21日

プレミアリーグ9節

マンチェスター・シティ(A)

スタメン 90分

10月26日

ヨーロッパリーグ3節

アヤックス(H)

スタメン 90分

​10月29日

プレミアリーグ10節

フラム(H)

スタメン 90分

11月4日

プレミアリーグ11節

エヴァートン(A)

スタメン 90分

11月9日

ヨーロッパリーグ4節

アヤックス(A)

スタメン 90分

11月12日

プレミアリーグ12節

チェフィールド・ユナイテッド(H)

​IN 45分

 プレミアリーグ計12試合で979分の出場時間、ヨーロッパリーグ計4試合で356分の出場時間、カラバオ杯1試合で64分の出場時間、日本代表1試合で84分の出場時間である。振り返ってみるとカラバオ杯は敗退して良かったと思えるくらいだ。三笘はここまで1399分間プレーしており、出場時間でチーム最長記録をマークしている。2位のグロスが1250分、3位のダンクが1215分出場している。1000分を超える出場時間を記録しているのは、上記の3人のみ。4位以降は1000分に達していない。出場時間から見ても、ブライトンの三笘依存がはっきりわかる。

 ここまで怪我のリスクを常に考えながらプレーしてきた三笘。実際に本人も「いつ怪我するか分からない」と正直に漏らし、1週間に2試合をこなすハードスケジュールの難しさを認めていた。


プレミアリーグ優勝チーム予想

  • 0%マンチェスター・C

  • 0%アーセナル

  • 0%ニューカッスル

  • 0%マンチェスター・U

You can vote for more than one answer.


怪我人の多さ

 ブライトンの怪我人の多さも三笘の出場時間の多さの原因となっている。10月21日に行われたプレミアリーグ第9節のマンチェスター・シティ戦、負傷者が続出している影響もあり、前節に続いて不慣れな左サイドバックとして先発出場したマーチだったが、89分に右ひざを負傷した模様で途中交代を余儀なくされ、90分+4分に担架でピッチを後にした。なお、FWウェルベックもこの試合に先発出場したものの、16分に負傷交代となっている。11月9日に行われたヨーロッパリーグ・アヤックス戦前までにエンシソ、ウェルベック、エストゥピミャン、ランプティ、マーチといった負傷者がいたが、この試合でさらなる負傷者が出てしまった。キャプテンでありDFの要であるダンク、そしてミルナーの2人が新たに負傷し、しばらく離脱することになった。さらに痛かったのがエストゥピミャンの負傷だ。この試合65分から1ヶ月ぶりに復帰したエストゥピミャンだったが、10分ほどプレーすると再び負傷してしまったのだ。ファーガソンについても、デ・ゼルビ監督は「怪我をしている」と話していた。さらに軽率なプレーで退場したダフートも今後3試合出場停止となることが濃厚だ。これで7名の主力選手を失う状態となったブライトンは、残った主力、つまり三笘を「酷使せざるを得ない」状況なのだ。

 こういった主力選手の離脱は少なからず三笘自身のパフォーマンスにも影響してくる。数値だけを振り返ると3ゴール3アシストはいずれもプレミアリーグ前半戦での記録だ。ゴールは第6節のボーンマス戦の途中出場した試合、アシストは第4節のニューカッスル戦が最後である。特に三笘の相棒となる左SBはエストゥピミャン、ランプティ、ミルナーとことごとく負傷離脱している。


選手層の薄さ

 ブライトンの選手層の薄さは2023ー24シーズンが始まる前から分かっていたことだが、シーズンが進むにつれて一層顕著になってきている。前シーズン主力だったマクアリスターがリヴァプールへ、カイセドがチェルシーへ移籍した。ブライトンの代名詞であるゴールキーパーからのビルドアップには中盤のクオリティが欠かせない。チェルシーからローン移籍だったコルウィルもチェルシーへ復帰し、前シーズン中盤戦まで正ゴールキーパーを務めていたサンチェスもチェルシーへ移籍した。チェルシーへ移籍した3名はレギュラーとして活躍している。新たに加入したダフート、ミルナー、バレバは今だブライトン特有のビルドアップに適応出来てない。そもそも、ブライトンのビルドアップにすぐに適応出来る人材は皆無に等しい。デ・ゼルビは出場させながら馴染ませるタイプの監督ではなく、どちらかというとブライトンの戦術を理解し、ある程度フィットした状態にならないと使わない監督である。ギルモア、グロス、ララーナが代わる代わるに出場しているが、最適解は見いだせていない状況が続いている。

 こういった状態が続くと、今度はシステムを変えざる得ない。得意の4-2-3-1ではなく今季は3-4-3で三笘をウィングバックとして出場させている試合がある。ウィングバックだと守備に追われる時間も多くなり、三笘の持ち味を発揮できない。ビルドアップにしても中盤でのボール回しを狙われてショートカウンターを食らう場面が何度かあった。ブライトンは選手によってサッカーを変えるのではなく、どのチーム相手でも同じビルドアップで戦う。そのため、強さを維持するためにはクオリティを保ちながら選手層を厚くしなければいけないのだが、マクアリスターやカイセドら主力級の選手の退団もあり、このミッションを遂行するハードルはかなり高いものとなっている。必然的に外回りの攻撃になり、最初から三笘は2枚、3枚のディフェンダーを相手にすることになっている。三笘は頭の良い選手だから、負け試合には挑まない。ボールロストを回避してボールを下げるシュチュエーションが多くなってしまうのも必然である。


デ・ゼルビからの信頼

 デ・ゼルビの三笘に対する信頼がはっきりと感じ取れる発言があった。プレミアリーグ第7節のアストン・ヴィラ戦を前に、「我々には他とは異なる3選手がいる。ルイス・ダンクとパスカル・グロス、そして三笘薫だ」と口にしている。それは、前述したブライトン内での出場時間からもわかる。ブライトンの攻撃は間違いなく三笘を中心に行われている。

 デ・ゼルビは言う。「失敗してもいいが、勇気を持たずにプレーすることは許さない」、「うまくいった時は選手の手柄でいいし、そうでない時は私が責任をとる。だが、勇敢さが感じられないフットボールだけは、絶対に受け入れられない」と。ブライトンのビルドアップを見ていても、あの密集した中盤に勇敢にボールを差し込み、その密集した中盤から外の三笘に展開、そこから三笘が勇敢にドリブルを仕掛け、時には密集地帯にも突き進んでいく。おろらく、デ・ゼルビが一番気に入っている三笘のクオリティはスピードでもなく、テクニックでもなく、勇気だ。

 今のブライトン、いやデ・ゼルビにとって三笘は替えの効かない、お気に入りの選手であることは間違いない。

 

三笘薫、ビッグクラブへ

 こうやって執筆を進めるうちにある結論に達した。三笘薫は今こそがビッグクラブへ移籍するタイミングでないか?と。ブライトンという中堅クラブでは、もう三笘を輝かせる場所は無いのではないかと。ビッグクラブへ行けば、選手層の厚さからターンオーバーでの出場機会が増えコンディション面での不安は無くなり、今回みたいな日本代表への招集辞退も無くなるはず。日本人としては嬉しいばかりだ。ビッグクラブへ行けば対戦相手は、三笘だけを封じれば勝てる状況ではなくなり、結果、マークが分散して三笘が仕掛けられる場面が増えるはずだ。最近も、FCバルセロナの最優先ターゲットに浮上したと地元メディアが報じている。バルセロナの試合を観ていても、得意のティキタカで相手を中に密集させて、がらりと空いた外のスペースへ展開する場面を幾度となく観てきた。そこに走り込むのが三笘だったらと想像しただけでワクワクしてくる。果たして、あのカンプ・ノウ(現在改修中で改修後の収容人数は11万人予定)で三笘がドリブルで相手をブチ抜くシーンが観られるだろうか。



このウェブサイトは株式会社WASABIZによって運営されています。無断複製、転載を禁止します。


Comments


bottom of page